日本からキューバへテレビ・映像撮影に行く制作会社向けの2026年実務ガイドです。キューバは世界的にも魅力的なロケ地である一方、外国クルーの撮影許可、ビザ、機材持ち込み、税関など事前確認が重要です。本記事では、撮影前に準備すべき手続き・必要書類・申請の流れを整理します。
日本からキューバへの行き方|撮影チームの移動
日本からキューバへの定期直行便はなく、メキシコなど第三国を経由してハバナへ向かうルートが一般的です。撮影機材を持参する場合は、キューバ入国時だけでなく経由地での機材・税関条件も事前に確認し、乗り継ぎ時間に余裕を持たせてください。
到着直後は入国・税関・機材確認に時間がかかる可能性があるため、撮影初日を到着日と同日に設定せず、準備日を確保するスケジュールが安全です。
1. はじめに:キューバ撮影は「許可が必要」です
キューバでは、外国人の撮影(特に報道・番組・商用制作)は原則として、以下の手続きが必要となります。特に重要なのは、観光ビザで撮影案件を行わないことです。
- 撮影許可(Filming Authorization / Filming Permit)
- ビザ(撮影/報道に該当する場合は専用ビザ)
- 機材持ち込み申請(税関手続き)
2. 手続き全体の流れ
撮影を決めたら、通常以下の順で動きます。
手続き前の準備:企画内容を整理
まずは、撮影の目的をはっきりしておくことが重要です。
- 何を撮るのか(テーマ)
- どこで撮るのか(場所・施設)
- 何人で行くのか(スタッフ/出演者)
- どの機材を持ち込むのか
- 公開先(TV、YouTube、配信、企業VPなど)
ステップ1:現地窓口(フィルムコミッション/国関係機関)へ相談
キューバでは外国撮影に対しFilming Authorization(撮影許可申請)が求められ、原則として到着の30営業日前までに申請が必要とされています。つまり、直前の「来週行って撮ろう」は基本的に不可です。
ステップ2:必要書類を準備して許可申請
一般に求められるのは以下です。こうした提出項目は複数の現地制作会社でも一般的要件として示されています。
- 企画書 / Letter of Intent(撮影趣旨)
- 脚本またはTreatment(内容概要)
- 撮影スケジュール
- ロケ地リスト
- スタッフ全員のリスト(氏名・パスポート情報)
- 機材リスト(メーカー・型番・シリアル・価格)
- (場合により)予算の概算・キューバ国内支出内容
ステップ3:ビザ申請
ここが一番混乱しやすいポイントです。目的に合ったビザ申請の必要があります。「YouTubeだから観光でいい」という話でもなく、制作の目的・公開先・収益性で見られます。ジャーナリストビザについては、D-6ビザが必要とされる説明もあります。
- 観光 → eVisa / 観光ビザ
- 報道・取材 → ジャーナリストビザ(D-6等)
- 商用撮影・制作 → 労働/撮影用の入国手続き(ワーク許可扱いになることが多い)
ステップ4:渡航前の入国フォーム
キューバは入国前にオンラインフォーム提出が必要です(税関・健康申告など)。
多くの渡航案内で必須事項として扱われています。
ステップ5:機材持ち込み・税関対応
撮影機材(カメラ、レンズ、ドローン、送信機材など)を持ち込む場合、以下の書類が必要となるケースがあります。※キューバは国の管理が強いため、税関申告を軽視すると危険です。
- 機材リスト(シリアル必須)
- 許可証コピー
- 持ち込み形態(ATAカルネ等の扱い)
税関申告を軽視した場合の主なリスク
1) 撮影機材の没収(保管)
- 「商用持ち込み」
- 「再販売目的」
- 「許可が必要な撮影目的」
申告していない/説明できない機材(特にプロ機材)は、以下と判断されると、空港税関で止められて保管(事実上の没収)されることがあります。その場で返ってこない場合もあります。
2) 高額な課税・罰金
申告なし=「課税逃れ」と見なされる可能性があります。
- 機材価格に対する課税
- 罰金(ペナルティ)
- 税金支払いまで機材引き渡し不可
3) 入国拒否・強制的に撮影中止
「観光で入国してるのにプロ機材=撮影目的」と判断されると、入国拒否・撮影中止指示に繋がり得ます。
- その場で撮影目的を疑われる
- 入国目的が違う(虚偽)と見なされる
4) 最悪:機材を日本に返送・持ち帰り命令
「持ち込み不可」と判断されると制作としてはほぼ致命傷です。
- その場で日本へ返送
- 次の便で持ち帰り
- 受領まで時間がかかる
➡ これ、制作としてはほぼ致命傷です。
5) 時間ロス(丸1日〜数日)→ロケ崩壊
空港税関で止まった場合、半日〜数日潰れてロケが崩れることがあります。
- 交渉
- 書類取り寄せ
- 現地制作会社・政府窓口の確認
- 担当者が来るまで待機
6) 機材の破損・紛失リスク
税関保管庫に入れられると、「壊れた/部品が消えた」が起きても泣き寝入りになりがちです。
- 精密機材でも雑に扱われる可能性
- ケース開封・チェック
- 数が多いと紛失
7) 以後の渡航・撮影で“要注意人物フラグ”が立つ
税関の判断次第では、今後の中南米ロケ全般にも影響するレベル。
- 次回から毎回呼び止められる
- 追加質問・荷物全検査
- 事前の許可証提示を要求
3. 必要書類チェックリスト
A. 撮影許可申請書類
- Letter of Intent(制作会社名・代表者・目的・公開媒体)
- Treatment / Script(内容概要)
- Shooting Schedule(日程・時間)
- Location List(地名・施設名・住所)
- Crew List(氏名・役職・パスポート番号・国籍)
- Equipment List(型番・シリアル・価格)
- 予算・支出計画(求められる場合)
B. ビザ関連
- パスポート残存期間確認(推奨:6ヶ月以上)
- 申請書
- 顔写真
- 会社レター(報道/番組の場合)
- 招聘状・現地受入先レター(必要な場合)
C. 入国前フォーム
- D’Viajerosフォーム提出
D. 機材持ち込み
- 機材リスト(シリアル・価格)
- 許可証
- 搬入出計画(返送/持ち帰り)
4. よくある落とし穴
落とし穴①:観光ビザで撮影してしまう
→ これが一番危険。空港・現地で止まる原因になります。
落とし穴②:ドローン
→キューバはドローン規制が厳しめです。許可なし運用はかなり危険。
落とし穴③:政治・社会テーマ
→制作内容によって許可が出ない場合もあるとされています(国のイメージに不利な内容など)。
5. 撮影チームが現実的に取るべき方法
結論として、キューバ撮影では、以下の観点から現地コーディネーター(Fixer)または現地制作会社を立てることが最も安全です。
- 許可申請がスペイン語+現地ルール
- ロケ地許可(国営施設や公共施設)が複雑
- 税関・警察対応が必要な場合がある
6. スケジュール目安
- 渡航2〜3ヶ月前:企画確定、現地窓口相談
- 渡航1.5〜2ヶ月前:許可申請書類提出
- 渡航1ヶ月前:許可取得、ビザ申請完了
- 渡航1〜2週間前:D’Viajeros等、最終準備
- 当日:空港税関対応
「撮影許可は30営業日前まで提出」条件があるため、最低でも1.5ヶ月前に動き始めるのが無難です。
キューバ撮影に関するよくある質問
キューバ撮影の準備は何日前から始めるべきですか?
撮影許可やビザ、機材手続きが必要になるため、少なくとも1.5〜2ヶ月以上前から準備を始めるのが実務的です。案件内容によってはさらに余裕を持たせてください。
撮影機材をキューバへ持ち込む際に注意することは?
機材名、型番、シリアル番号、価格などを整理した機材リストを準備し、撮影許可や税関手続きと合わせて事前確認することが重要です。
現地コーディネーターは必要ですか?
外国クルーの撮影では、許可、税関、ロケ地、通訳、車両など複数の調整が必要になるため、現地事情を把握したコーディネーターや制作会社を通すと進行しやすくなります。
実際の現地体験はキューバ現地レポート(2022年5月)でも紹介しています。
7.まとめ
キューバでの撮影は、準備と手続きをきちんと踏めば、唯一無二の絵が撮れる最高のロケ地です。
- 書類不備
- 目的に合わないビザ
- 機材申告の軽視
があると一気に詰みます。だからこそ、最初から許可申請前提で動くことが成功のコツです。
ハイボルテージエンターテイメント ラテンアメリカは、これまでにキューバでの取材・撮影実績を有しております。 キューバでの番組制作・報道取材をご検討の方は、撮影コーディネートサービス、キューバ撮影・ロケにおすすめスポットもご覧ください。具体的なご相談はお問い合わせからご連絡いただけます。
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