南米の中でも、遺跡・自然・街並みが揃い、映像映えする国として人気が高い「ペルー」。
一方で、海外クルーとして撮影する場合は
- どんなビザが必要?
- 撮影許可はどこに申請?
- 撮影機材は税関申告が必要?
- ドローンは飛ばせる?
など、準備不足でトラブルになりやすい国でもあります。この記事では、日本からペルーへ撮影に行くための手続き・必要書類・許可申請の流れを、実務目線でわかりやすく解説します。
日本からペルーへの行き方|撮影チームの移動
日本からペルーへの定期直行便はなく、北米・メキシコなどの都市を経由してリマのホルヘ・チャベス国際空港へ向かうのが一般的です。撮影機材を持参する場合は、乗り継ぎ時間に余裕を持ち、経由国の入国・通過条件や機材の取り扱いも事前に確認してください。
到着後に税関対応や国内線・陸路移動が続く場合もあるため、撮影初日を移動直後に設定せず、準備日を確保するとスケジュールに余裕を持たせやすくなります。
1. まず押さえる:ペルー撮影の「許可」が必要になる条件
ペルーでは、撮影自体は可能ですが、以下に該当すると原則許可・手続きが必要になります。
許可が必要になりやすいケース
- 遺跡(世界遺産・文化財)での撮影 マチュピチュ遺跡、クスコ世界遺産など
- 国立公園・自然保護区での撮影
- 公共の施設(博物館・行政施設など)
- 交通規制や通行止めが必要な撮影
- 商用撮影(CM・広告案件)
- 大型機材(照明/三脚/レール等)を持ち込む
- ドローンを使う
2.全体の流れ(準備〜撮影まで)
まずは最短ルートを「10ステップ」で整理します。
ペルー撮影の基本ワークフロー
- 撮影内容を整理(番組・尺・ロケ地・機材)
- 必要ビザの判断(観光入国で足りるか)
- 撮影許可が必要なロケ地の洗い出し
- 申請先の確定(文化省/国立公園/市 etc)
- 機材の一時持ち込み方法の選択(申告 or ATA Carnet)
- 渡航・航空券・保険(賠償責任も)
- 現地クルー/フィクサー/通訳の手配
- 税関申告(機材・ドローン)
- ロケ地で許可証提示 → 撮影
- 出国時:機材の再搬出証明(重要)
3.【重要】観光ビザで撮影できる?できない?
日本国籍者は観光目的であればビザ免除の対象ですが、テレビ局・報道・メディア取材などの業務撮影では、観光入国を前提にせず、案件内容に応じてジャーナリストビザなど適切な手続きを事前に確認することが重要です。
3-1. 撮影に関連する主なビザ(2026)
A) ジャーナリスト(報道)ビザ
報道目的の場合、領事館側の案内では「Journalist Visa」が明確に用意されています。必要書類に制作会社のレター等が求められます。
B) Artistic Production(映像制作に関連する滞在許可)
ペルーのFilming in Peru(公式プロモーション)では、映画・映像制作に関する滞在カテゴリとして Temporary/Resident Artistic Production が案内されています。
実務アドバイス(最重要)
- 観光入国 + プロ機材 + 撮影許可が必要なロケ地
→ 税関・許可で撮影活動が露見するため「観光扱い」で押し切れないことがあります。 - 放送・報道・商用案件ほど、正規のビザ/カテゴリ整理が安全です。
4.撮影許可:どこに申請する?(ロケ地別)
ペルーはロケ地によって管轄が違います。
ここを間違えると「申請したのに無効」ということが起きます。
4-1. 基本情報:Filming in Peru(PROMPERÚ)
ペルーではPROMPERÚがロケ誘致窓口として情報整理しています。まずここでFAQを確認するのが最短です。
4-2. 申請場所の管轄
世界遺産・遺跡
- 文化省(Ministerio de Cultura)系の許可が必要になりやすい。
- マチュピチュ等は特に時間がかかる可能性あります。(案件によっては1ヶ月以上前倒し推奨)
国立公園・自然保護区
- SERNANP等、保護区管轄の許可になるケース
リマ市内・市街地(道路・広場)
- 市(Municipalidad)や警察(PNP)との調整が必要な場合あります。
- 三脚や照明、通行への影響があると許可が必要になりやすい。
5.【重要】撮影機材をペルーへ持ち込む方法(税関・申告)
ここが一番トラブルになります。
5-1. ペルーではATA Carnetが使える(2024〜)
ペルーは 2024年4月30日よりATA Carnet運用開始。プロ機材の一時持ち込みに利用できます。
Filming in Peru側でも、映像制作の一時持ち込みに有効と紹介されています。
ATA Carnet(安全度☆☆☆☆)
番組・チーム撮影/機材が多い場合におすすめ
- 原則:関税・税金なし(担保方式)
- 再搬出の証明が明確
- 空港税関で説明しやすい
必要なもの
- ATA Carnet書類(機材リスト、シリアル、金額)
- 搬入出時の税関スタンプ
5-2. 機材リストの準備(必須)
機材が少なくても、以下は作っておいて常に持ち歩くと安心です。
- Equipment List(英語/スペイン語)
- 型番
- シリアル番号
- 価格(USD)
- 数量
- 用途(filming / broadcast / documentary)
6.ドローン撮影の手続き(DGAC/MTC)※2026重要項目
ペルーでドローンを飛ばす場合、以下の機関が絡みます。
- 入国時の税関申告(VATなど)
- DGAC(航空局)規制
- 遺跡/保護区/市街地の飛行禁止エリア
6-1. 入国時:申告しないとリスク大
ドローンは入国時に申告が必要とされ、未申告だと罰金等のリスクが言及されています。
6-2. 2026年のRPAS規制・パイロット認定
2026年5月、ペルーではDecreto Supremo N.º 012-2026-MTCによりRPAS(ドローン)運用に関する新しい規則が承認されました。運用前には、機体登録、操縦者の認定、飛行内容に応じた許可、空域やロケ地ごとの制限確認が重要です。2026年6月以降はMTCによるRPAS操縦者認定のオンライン手続きも案内されています。
実務注意(ドローン)
- 遺跡(特にマチュピチュ周辺)は非常に厳しいことが多い
- 許可が取れても現場判断で止められることがある
→ ドローンは「飛ばせたらラッキー」になりがちなので、地上撮影プラン必須
7.必要書類チェックリスト
7-1. 全案件共通
- パスポート(残存6ヶ月以上推奨)
- 航空券(往復)
- 宿泊先情報
- 保険証書(海外旅行保険+賠償責任あると強い)
- 連絡先(日本本社・現地フィクサー)
7-2. 撮影許可用
- 企画書(Project Outline)
- スケジュール(Call Sheet / Itinerary)
- 撮影場所リスト(住所/座標)
- クルー名簿(氏名・役職・パスポート番号)
- 機材リスト
- 作品公開先(TV / YouTube / SNS / OTT)
7-3. 税関用(機材)
- ATA Carnet(利用する場合)
- 機材リスト(シリアル必須)
- ドローン機体情報
8. トラブル回避:よくある失敗と対策
❌ 失敗1:許可不要と思って遺跡に行き撮影停止
→ ロケ地ごとに管轄が違うので、「一括でOK」はない
❌ 失敗2:税関で機材が止まって撮影スケジュール崩壊
→ ATA Carnet または事前準備済の一時持ち込み申請で回避
❌ 失敗3:ドローンを持っていったが飛ばせない
→ 「地上撮影で成立する映像設計」にしておく
9.スケジュール目安
ペルー撮影は「許可申請」「機材税関」「(必要なら)ビザ・ドローン」の工程が絡むため、余裕を持った逆算スケジュールが成功の鍵になります。特に、撮影許可申請は「30営業日前まで提出」といった条件が設けられているケースもあるため、撮影予定日の直前に動くと間に合わない可能性があります。
そのため、最低でも渡航の1.5ヶ月前には準備開始するのが無難です。
1.5〜2ヶ月前:許可申請書類提出
渡航2〜3ヶ月前:企画確定、現地窓口相談 渡航
渡航1ヶ月前:許可取得、ビザ申請完了
渡航1〜2週間前:許可書・ATA Carnet/機材書類・ドローン関連書類・現地連絡先の最終確認
当日:空港税関対応
10.ペルー撮影に関するよくある質問
日本人はペルー撮影にビザが必要ですか?
観光目的の短期滞在と、テレビ・報道・商用撮影などの業務活動では扱いが異なります。案件内容に応じて、ジャーナリストビザなど適切なカテゴリーを渡航前に確認してください。
撮影機材にATA Carnetは使えますか?
はい。ペルーでは2024年4月30日からATA Carnetの運用が始まっており、再搬出するプロ用撮影機材の一時輸入に利用できます。
マチュピチュなどの遺跡で自由に撮影できますか?
商用撮影や大型機材を使用する撮影では、文化省など関係機関の許可が必要になる場合があります。ロケ地ごとに条件を事前確認してください。
ペルーでドローン撮影するには何が必要ですか?
機体登録、操縦者の認定、飛行内容に応じた許可、空域制限の確認が重要です。遺跡や自然保護区では航空規制とは別の許可が必要になる場合もあります。
撮影準備は何ヶ月前から始めるべきですか?
一般的には1.5〜2ヶ月以上前から準備を始めると安全です。遺跡・保護区・ドローン・大規模撮影を含む場合は、さらに余裕を持ったスケジュールをおすすめします。
11.まとめ
ペルー撮影で最も重要なのは、実は撮影スキルではなく以下の3点です。
✅ 許可(ロケ地管轄)
✅ 税関(機材一時持ち込み)
✅ ドローンの規制理解
特に2026年現在、ペルーはATA Carnet導入済みなので、撮影機材が多い場合はATA Carnet活用が最も安全です。
ハイボルテージエンターテイメント ラテンアメリカは、これまでにペルーを含む中南米でテレビ番組・報道・ドキュメンタリーなどの取材・撮影をサポートしています。
実際の制作事例は2024年 中南米・海外撮影コーディネート実績および2024年 中南米撮影・取材実績の振り返りをご覧ください。現地での許可確認、ロケ地調整、通訳、車両、現地クルーなどについては撮影ロケコーディネートでご案内しています。会社情報は会社紹介、具体的な撮影相談はお問い合わせよりご連絡ください。
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