南米の中でも、遺跡・自然・街並みが揃い、映像映えする国として人気が高い「ペルー」。
一方で、海外クルーとして撮影する場合は
- どんなビザが必要?
- 撮影許可はどこに申請?
- 撮影機材は税関申告が必要?
- ドローンは飛ばせる?
など、準備不足でトラブルになりやすい国でもあります。この記事では、日本からペルーへ撮影に行くための手続き・必要書類・許可申請の流れを、実務目線でわかりやすく解説します。
1. まず押さえる:ペルー撮影の「許可」が必要になる条件
ペルーでは、撮影自体は可能ですが、以下に該当すると原則許可・手続きが必要になります。
許可が必要になりやすいケース
- 遺跡(世界遺産・文化財)での撮影 マチュピチュ遺跡、クスコ世界遺産など
- 国立公園・自然保護区での撮影
- 公共の施設(博物館・行政施設など)
- 交通規制や通行止めが必要な撮影
- 商用撮影(CM・広告案件)
- 大型機材(照明/三脚/レール等)を持ち込む
- ドローンを使う
2.全体の流れ(準備〜撮影まで)
まずは最短ルートを「10ステップ」で整理します。
ペルー撮影の基本ワークフロー
- 撮影内容を整理(番組・尺・ロケ地・機材)
- 必要ビザの判断(観光入国で足りるか)
- 撮影許可が必要なロケ地の洗い出し
- 申請先の確定(文化省/国立公園/市 etc)
- 機材の一時持ち込み方法の選択(申告 or ATA Carnet)
- 渡航・航空券・保険(賠償責任も)
- 現地クルー/フィクサー/通訳の手配
- 税関申告(機材・ドローン)
- ロケ地で許可証提示 → 撮影
- 出国時:機材の再搬出証明(重要)
3.【重要】観光ビザで撮影できる?できない?
結論から言うと、小規模な取材・旅行撮影の範囲なら観光扱いで問題になりにくいことがあります。
ただし、プロ機材・報道・商用撮影は、ビザやカテゴリーが問題になる可能性があります。
3-1. 撮影に関連する主なビザ(2026)
A) ジャーナリスト(報道)ビザ
報道目的の場合、領事館側の案内では「Journalist Visa」が明確に用意されています。必要書類に制作会社のレター等が求められます。
B) Artistic Production(映像制作に関連する滞在許可)
ペルーのFilming in Peru(公式プロモーション)では、映画・映像制作に関する滞在カテゴリとして Temporary/Resident Artistic Production が案内されています。
実務アドバイス(最重要)
- 観光入国 + プロ機材 + 撮影許可が必要なロケ地
→ 税関・許可で撮影活動が露見するため「観光扱い」で押し切れないことがあります。 - 放送・報道・商用案件ほど、正規のビザ/カテゴリ整理が安全です。
4.撮影許可:どこに申請する?(ロケ地別)
ペルーはロケ地によって管轄が違います。
ここを間違えると「申請したのに無効」ということが起きます。
4-1. 基本情報:Filming in Peru(PROMPERÚ)
ペルーではPROMPERÚがロケ誘致窓口として情報整理しています。まずここでFAQを確認するのが最短です。
4-2. 申請場所の管轄
世界遺産・遺跡
- 文化省(Ministerio de Cultura)系の許可が必要になりやすい。
- マチュピチュ等は特に時間がかかる可能性あります。(案件によっては1ヶ月以上前倒し推奨)
国立公園・自然保護区
- SERNANP等、保護区管轄の許可になるケース
リマ市内・市街地(道路・広場)
- 市(Municipalidad)や警察(PNP)との調整が必要な場合あります。
- 三脚や照明、通行への影響があると許可が必要になりやすい。
5.【重要】撮影機材をペルーへ持ち込む方法(税関・申告)
ここが一番トラブルになります。
5-1. ペルーではATA Carnetが使える(2024〜)
ペルーは 2024年4月30日よりATA Carnet運用開始。プロ機材の一時持ち込みに利用できます。
Filming in Peru側でも、映像制作の一時持ち込みに有効と紹介されています。
ATA Carnet(安全度☆☆☆☆)
番組・チーム撮影/機材が多い場合におすすめ
- 原則:関税・税金なし(担保方式)
- 再搬出の証明が明確
- 空港税関で説明しやすい
必要なもの
- ATA Carnet書類(機材リスト、シリアル、金額)
- 搬入出時の税関スタンプ
5-2. 機材リストの準備(必須)
機材が少なくても、以下は作っておいて常に持ち歩くと安心です。
- Equipment List(英語/スペイン語)
- 型番
- シリアル番号
- 価格(USD)
- 数量
- 用途(filming / broadcast / documentary)
6.ドローン撮影の手続き(DGAC/MTC)※2026重要項目
ペルーでドローンを飛ばす場合、以下の機関が絡みます。
- 入国時の税関申告(VATなど)
- DGAC(航空局)規制
- 遺跡/保護区/市街地の飛行禁止エリア
6-1. 入国時:申告しないとリスク大
ドローンは入国時に申告が必要とされ、未申告だと罰金等のリスクが言及されています。
6-2. DGACの要件(2025/2026更新)
ペルー政府(gob.pe / MTC)では、RPAS(ドローン)運用要件や試験方式についての更新情報が出ています(2026年1月更新ページあり)。
また2025年には登録システム迅速化についてのまとめも出ています。
実務注意(ドローン)
- 遺跡(特にマチュピチュ周辺)は非常に厳しいことが多い
- 許可が取れても現場判断で止められることがある
→ ドローンは「飛ばせたらラッキー」になりがちなので、地上撮影プラン必須
7.必要書類チェックリスト
7-1. 全案件共通
- パスポート(残存6ヶ月以上推奨)
- 航空券(往復)
- 宿泊先情報
- 保険証書(海外旅行保険+賠償責任あると強い)
- 連絡先(日本本社・現地フィクサー)
7-2. 撮影許可用
- 企画書(Project Outline)
- スケジュール(Call Sheet / Itinerary)
- 撮影場所リスト(住所/座標)
- クルー名簿(氏名・役職・パスポート番号)
- 機材リスト
- 作品公開先(TV / YouTube / SNS / OTT)
7-3. 税関用(機材)
- ATA Carnet(利用する場合)
- 機材リスト(シリアル必須)
- ドローン機体情報
8. トラブル回避:よくある失敗と対策
❌ 失敗1:許可不要と思って遺跡に行き撮影停止
→ ロケ地ごとに管轄が違うので、「一括でOK」はない
❌ 失敗2:税関で機材が止まって撮影スケジュール崩壊
→ ATA Carnet または事前準備済の一時持ち込み申請で回避
❌ 失敗3:ドローンを持っていったが飛ばせない
→ 「地上撮影で成立する映像設計」にしておく
9.スケジュール目安
ペルー撮影は「許可申請」「機材税関」「(必要なら)ビザ・ドローン」の工程が絡むため、余裕を持った逆算スケジュールが成功の鍵になります。特に、撮影許可申請は「30営業日前まで提出」といった条件が設けられているケースもあるため、撮影予定日の直前に動くと間に合わない可能性があります。
そのため、最低でも渡航の1.5ヶ月前には準備開始するのが無難です。
1.5〜2ヶ月前:許可申請書類提出
渡航2〜3ヶ月前:企画確定、現地窓口相談 渡航
渡航1ヶ月前:許可取得、ビザ申請完了
渡航1〜2週間前:D’Viajeros等、最終準備
当日:空港税関対応
10.まとめ
ペルー撮影で最も重要なのは、実は撮影スキルではなく以下の3点です。
✅ 許可(ロケ地管轄)
✅ 税関(機材一時持ち込み)
✅ ドローンの規制理解
特に2026年現在、ペルーはATA Carnet導入済みなので、撮影機材が多い場合はATA Carnet活用が最も安全です。
ハイボルテージエンターテイメント ラテンアメリカは、これまでにペルーでの取材・撮影実績を有しております。ペルーでの番組制作・報道取材をご検討の皆様からのご連絡をお待ちしております。
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